創業45周年を迎えた株式会社商様は、レンタルマット・モップの提供、尿石除去剤「マリンクール」の販売・レンタルを主力とし、地域に密着したサービスを展開する老舗企業です。「まずはお客様に奉仕すること」を何よりも優先する姿勢は、創業以来変わることなく受け継がれ、その積み重ねが業績や信頼につながり、今日まで企業を支えてきました。今回は、4代目として舵を取る木下社長に話を伺いました。
中でも取引先が多いのは、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、カーディーラーの3業種で、全体の約4〜5割を占めています。「特定業種に絞ったわけではなく、当社のサービスとお客様のニーズが合致した結果」と木下社長。地域社会の多様なニーズに応え続ける姿勢が、幅広い顧客基盤につながっています。
営業活動や顧客管理の多くを紙ベースで行っていました。営業担当者は各自が日報をつけるのみで、見込み客の状況や営業タイミングといった重要な情報は、本人に直接聞かなければ把握できない状況でした。そのため、進捗管理や計画立案が難しく、営業活動全体の効率化に限界を感じていました。同社の営業体制は、本社に営業専任3名、さらにマット交換やトイレ清掃などを担うサービススタッフ23名を含めると、大体数十名規模。しかし、横浜や筑波といった拠点には営業専任が不在で、日々の業務の中でサービススタッフが兼務で営業活動を担っていました。木下社長はこう振り返ります。「従来は紙で管理していたため、担当者ごとの進捗が分からず、まるで商店のような営業状態でした。誰がどこまで進めているのか、経営側で把握するのは非常に困難でした。」営業が個人の経験や勘に依存していた結果、属人化が進み、組織としての戦略的な営業判断や売上予測がほとんどできないことが大きな課題となっていました。
従来の営業活動が個人任せで属人的になっており、担当者によって成績に大きな差が生じていました。成果を上げている優秀な営業担当者の手法も、他のメンバーへ横展開することが難しく、組織全体の営業力を底上げすることが大きな課題となっていました。
木下社長は、過去に経理や業務システムの導入経験から「システムを活用すれば、個人任せの管理から組織的な管理に変えることができるという手応えを持っていました。」と語ります。この経験を踏まえ、営業活動でも同様にシステムを導入すれば、営業の可視化・効率化・売上向上につながると考え、Salesforce導入の決断に至りました。導入に際しては社内で大きな議論や抵抗はなく、スムーズに決定。木下社長は「超属人的に個人に依存していた営業を組織化するには、ツール導入が不可欠です。」と述べ、Salesforceは単なるツール以上に、営業組織を支えるパートナーとして選定しました。
Salesforceの導入決定から運用開始までわずか1〜2か月という短期間で完了しました。主な目的が「営業活動の見える化」であったことから、複雑な要件定義やカスタマイズを行わず、必要最小限の機能でスタートできたことがスピード導入を可能にしました。予算確定後は契約・発注がスムーズに進み、ファーストキックオフも迅速に実施されました。導入直後、社員からは「面白そう」「興味深い」といった前向きな声が聞かれました。特に木下社長自らが率先してデータ入力や運用に取り組むことで、スタッフも自然に操作に慣れていったといいます。木下社長は「自分が夢中で使い始めることで、スタッフも自然と操作に慣れていきます。」と語り、トップダウンでの率先実践が導入抵抗を最小限に抑える効果を生んだことを強調します。導入の成果としては、商談や訪問履歴、見込み客の状況を即座に把握できるようになり、上司からの無駄な確認や指示も減少。蓄積されたデータは今後の予算予測や営業戦略に活用可能となっています。木下社長は「以前は進捗や見込み状況を把握するだけでも大変でしたが、今はデータが見える化され、商談状況もすぐに把握できるようになりました。」と、Salesforce導入による業務効率化と意思決定の迅速化を高く評価しています。
Salesforce導入により、営業活動や顧客管理の可視化が実現しただけでなく、スタッフのITリテラシー向上という思わぬ効果も生まれました。木下社長はこう振り返ります。「以前はパソコンに触れる機会がほとんどないスタッフもいました。レンタルマット・モップ業界では、パソコンやシステムを使う文化が浸透しておらず、電源の入れ方すらわからないスタッフもいたほどです。」しかし、Salesforce導入をきっかけに、スタッフは「やらなければならない」という状況の中でパソコン操作を習得し始めました。アカウント作成やデータ入力に時間がかかることもありましたが、特別な抵抗はなく、日常業務として自然に受け入れられています。営業担当者はパソコンだけでなくスマートフォンからも情報を入力できるようになり、リアルタイムで顧客情報や営業進捗を更新できる環境が整いました。木下社長は導入効果について次のように語ります。「導入によって、スタッフがパソコンの可能性を自ら見出すようになったことが、会社として大きな変化でした。」このように、Salesforce導入は単なる営業効率化に留まらず、スタッフのデジタルスキル向上やITリテラシーの底上げという付加的な成果ももたらしました。
Salesforceを主に見込み客管理のために活用しています。見込み客が発生した際の情報入力や、顧客状況・接触履歴の記録を行う一方で、商談機能はあえて利用せず、取引先情報の管理に特化しています。これにより、一般的なSalesforceのフル活用とは異なる、オーダーメイドの運用が実現されています。木下社長は「せっかくツールを導入しても、複雑だと使われなくなります。まずはシンプルにして全員が使えることが重要です。」と語ります。同社では、「シンプルで使いやすい形での可視化」と「稼働状況の把握」を目的に、複雑な機能を避けつつ、全社員が無理なく活用できる仕組みを優先しています。この運用方針により、導入初期から社員全員が抵抗感なくSalesforceを日常業務に取り入れることができています。
さらに導入前は、月の売上や目標達成の可能性を事前に予測することがほとんどできませんでした。各営業担当者の見込み状況が個人管理に留まり、全体の数字として集約されなかったためです。「上がれば喜び、下がれば焦る。完全に行き当たりばったりの営業でした。」と木下社長は当時を振り返ります。Salesforce導入後は、案件の進捗や顧客状況を数値でリアルタイムに把握できるようになり、売上見込みや予算予測が可能に。戦略的な意思決定の基盤が整ったことも、大きな改善ポイントとなりました。
Salesforceの便利さとして、必須入力項目を自由に設定できる点を高く評価しています。木下社長は「自分が知りたい情報を必須項目として設定できるのがとても便利です。」と語ります。従来の紙ベースや個人任せの管理では難しかった、見込み客情報の体系的な整理・可視化が可能になったことも大きなメリットです。現状は第一段階として、見込み客の進捗状況を把握できることに満足しているものの、運用を続ける中で「こうした方が便利だな」「こんな情報もあったら助かる」といった改善点を段階的に取り入れながら、さらに活用の幅を広げていく計画です。また、導入サポートとの連携により、運用や改善提案を受けながら活用することで、より効果的な活用が期待できる状況にあります。
Salesforce導入後、営業会議やミーティングの進め方に大きな変化が見られました。木下社長は「今までは紙ベースで情報を提出して確認する必要がありましたが、Salesforce上のデータをもとに議論できるようになり、会議の内容がぐっと充実しました。時間も大幅に短縮できています。」と語ります。また、社員がパソコンやスマートデバイスに触れる機会が増えたことで、営業活動以外のスキル向上にもつながる可能性があります。木下社長は「現時点でモチベーションの直接的な変化は大きくありませんが、自分が入力した情報がリアルタイムで見えることで、『もっと埋めたい』『自分も増やしたい』という意欲や競争心が自然と刺激されています。」と話しており、Salesforce導入は、個人レベル・組織レベル双方において、初期的ながら着実な成果や変化をもたらしていることがうかがえます。
Salesforce導入の初期段階として、一部アカウントで試用運用を開始しています。木下社長は「まずは一部のアカウントで運用を試し、半年ほど使って費用対効果を確認してから、全社員(約20名)への展開を検討しています。」と語ります。現状は見込み客中心の運用ですが、将来的には既存顧客や過去の顧客情報も取り込み、履歴管理を行うことで、アップセル・クロスセルの機会創出や失注顧客への再アプローチを可能にする計画です。また、Salesforceを活用することで、顧客フォローのタイミングを自動化したり、定期的なレポートやダッシュボードで営業成果や進捗を可視化したりと、データドリブンな営業活動を実現。木下社長は「アカウント数やフォロー体制は、費用対効果を見ながら柔軟に調整していきます。初期段階ではシンプルで使いやすい運用を徹底し、社員の抵抗感を抑えることが重要です。」と説明します。段階的にデータや機能を拡張し、社員のITリテラシーや習熟度に応じて運用を最適化することで、営業チーム全体の組織力強化や、個人差のある営業成果の可視化・改善・教育への活用、顧客接点の効率化、さらに新規・既存顧客の収益最大化といった将来的な効果を目指しています。
現状の事業が成長サイクルでいう衰退期に差し掛かっており、このまま何もしなければ売上やビジネス規模が縮小してしまうという認識を持っていました。木下社長はこう語ります。「今のままでは事業が停滞してしまう。そこで、新規事業への参入や既存事業の再活性化を進め、次の成長曲線を描くことが課題でした。」こうした状況の中で、Salesforce導入は単なる営業管理ツールとしてではなく、既存事業の成長を支える基盤として位置付けられました。営業力の強化や顧客管理の効率化を通じて、組織全体の営業活動を見える化するとともに、蓄積されたデータを活用して次の事業戦略や営業戦略の意思決定をサポートしています。木下社長はさらに、「Salesforceは営業やマーケティングの効率化だけでなく、新規事業開発や事業再構築にも役立つツールです。代表としての舵取りの一環としても重要な役割を担っています。」と語り、システム導入が会社全体の戦略的意思決定と成長の礎になっていることを強調しました。
小規模企業でもSalesforceは活用できると思いました。木下社長は、これまでの営業活動についてこう振り返ります。「弊社の営業は、どうしても属人的になってしまい、誰がどの商談を進めているのか把握するのが難しかったのです。だから営業活動を標準化して、見える化するためにはシステム導入が不可欠だと思いました。Salesforceは、そのきっかけとして最適でした。」またSalesforce導入にあたって、木下社長は導入ハードルについてもこのように言及しています。「正直、Salesforceは高価なイメージがあります。でも最近は手軽に試せるライセンスも増えていて、社員30名以下の小規模企業でも成功事例がたくさんあるのです。弊社規模でも十分活用できると感じました。小規模企業向けの営業組織体制や導入支援も整っているので、安心して導入できます。」そして、導入の進め方についても、実務に即したアドバイスを話してくれました。「ポイントは、目的に応じた機能を選ぶことと、サポート体制を活用することです。無理に全部の機能を使おうとせず、楽しみながら段階的に始めるのがコツです。こうすることで、営業活動の効率化だけでなく、組織全体の力も底上げできると思います。」
木下社長の言葉からも分かるように、Salesforce導入は単なるツールの導入にとどまらず、営業活動の可視化と標準化、そして社員のITリテラシー向上や組織力強化につながる取り組みとして、株式会社商様にとって大きな変化をもたらしました。